Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うもんとりものちょう

右門捕物帖(三)

佐々木 味津三

Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme

Aozora Bunko

です。

「おどろいたね。いくら貧乏しても、こんなあばら屋ってえものはねえですよ。もののたとえにも、日本橋といや土一升金一升というくれえのもんだが、目と鼻のその日本橋近くにこのあばら屋は、なんですかよ。おら、承知ができねえんだ。え? ちょいと、だんな! だれがいってえこんなに貧乏にしやがったんですかい。ね、ちょいと! え? だんな?」

「…………」

「へへえね。こいつあおどろいた。生意気に押し入れがついておると思ったら、何もねえんですよ。ふとん一枚ねえんですよ。もう十日もたちゃ霜が降りようってえいうこの薄寒い秋口に、毎晩毎晩何を着て寝ていたんでしょうね。え? ちょいと。ね、だんな!」

そろそろともううるさく始めかけたのを、相手にもせずに名人は聞き流しながら、しきりとへやのうちをあちらこちらと見捜しました。

しかし、何もない。まったく何もこれと思われる品は見当たらないのです。もしや何かと思って、丹念に破れつづらの中をも調べてみたが、出てきたものはまったく着るにたえないほどもぼろぼろになった子どもたちの衣類が三、四枚と、これも物の用をなさない母親の破れ着物が一、二枚、はかなげな残骸を目の前にさらしたきりでした。