Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまとじ・しなのじ

大和路・信濃路

堀 辰雄

Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme

Aozora Bunko

僕は煖炉で体が温まると、突然その不思議な女のことを思いながら言った。

「では、きょうまた見にきたのでしょうか。これで三度目ですわ、」万里子さんは急に目を大きくして、頸巻をしたまま煖炉の火を掻きまわしていたK君のほうを見た。

「なんだかよく来るね。」K君はやっと手を休めながらその話に加わった。「このすこし向うに、十一月ごろまでいた独逸人の一家がいてね、それがクリスマス頃になったらまた来るからと云って、一時引き上げていったのさ。――その人達がまだ来ていないかどうかと、そうやってもう二週間ぐらいも前から、毎日のようにその女が様子を見にくるのだよ。二三度、僕たちのところにも立ち寄って、何か心配そうに様子をきくので、こっちでもその度に相手になってやっていたが、問い合わせの手紙でも出したらどうかと云うと、ただ首をふっているきりなのだ。もうその家では来ないことが分かっているのだ。それだのにこの頃は一日のうちに二度も三度もやって来るんだ。いつもあの毛皮の外套をきて、紅いベレをかぶって。――そうしてその度に、僕たちの家の中をじいっと見てゆくんだ。それをまた万里子が薄気味わるがってね。