Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
小坊主とはいえ、人間一人を引き上げることは、女一人の力にはかなりの重荷です。それでもお銀様のこの時には、思いがけない怪力が加わったもののように、誰の助けを借りもせずに、井戸の車が動きます。
その時に竜之助は蒲団の上に起き直って、枕許の煙草盆を引き寄せて、長い煙管で煙草を喫みはじめました。
あわて騒いでいた福村は、神尾を肩にかけて、ようやくその場を退去してしまったあとには、お銀様が力をこめて井戸縄を手繰る音が、ミシリミシリと重く軋って、お銀様は一尺引き上げては休み、二尺引き上げては息をついている様子が手に取るようです。好きでもない煙草を吹かしながら竜之助は、茫然として事の経由を考えています。いったい、あの盲の小坊主なるものが奇怪千万であるとでも思っているのでしょう。
「坊さん、しっかりして下さい、怪我はありませんか」
これはお銀様の声でありました。その時に、重い車井戸の軋りは止んで、
「はい、有難うございます、どこも怪我はございません」
意外にも、これはハッキリとした小坊主の声。してみれば、たしかに一旦は井戸へ投げ込まれた小坊主は、生きて再び浮び上ったものに相違ない。