Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
竜之助はそれを怪しみました。
「どなたか存じませぬが、おかげさまで命が助かりました、一旦、地獄へ落ちたわたくしが、またこの世に生れることになりましたのは、あなた様のおかげでございます。でございますけれど、こうして再びこの世へ生れ更って参りましても、業が尽きない限り、この世もあの世も同じことの地獄でございます」
小坊主は凄焉たる声で、こんなことを言い出しました。さきほどから聞いていれば、この小坊主の言うことが、いちいち癪にさわらないではない。お銀様も今の言葉を幾分か不快に思ったらしく、
「そんなことを言うものではありません、地獄は怖ろしいところです、この世はまだまだ捨てたものではありませんよ」
お銀様は叱るように言いました。
「私も、つい今までは左様に思いましたけれど、今となってみると、地獄も、そんなに怖いところではないと思いましたよ」
小坊主はこう言って減らず口を叩きました。減らず口ではないけれども、なんとなく小憎らしい口に聞えました。それは、さいぜんは、あれほどまで苦しがって、絶叫したり、号泣したりして死ぬことを厭い、助けられんことを求めていたのに、助けられ、救い上げられてみれば、かえってすましたもので、さのみ感謝の意を表しているとも思われないからです。