Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
その覘いは過たず、神尾の面上へ飛んで来たから、狂乱の神尾も落ちかかる刃を払わずにはおられません。それを槍の柄で払おうとして、あぶない足許が一層あぶなくなって、ついに堪らずと尻餅をついたのが、お銀様にとっては命の親でありました。
この僅かの間を利用してお銀様は、池の端を通って、橋を飛び越えて、一息に本邸の縁側へ飛び上って、障子を蹴開いて奥へ逃げ込みました。
つづいて起き上った神尾主膳は、同じように池を飛び越えて縁の上へはね上ったが、ここではお銀様が広い母屋のいずれの部屋へ逃げ込んで、いずれの方角から抜け出したかということは更にわかりません。
主膳がただ何事をか、しきりに怒号して間毎間毎を荒し廻っている音声が、外で聞くとものすごいばかりです。いつまでたっても例の槍ははなさず、間毎間毎を荒し廻りながら、襖といわず天井といわず、その槍の石突と穂先との両方でブスブスと突き立てたものです。
幸か不幸か、日頃は少なくも十人以上も、ごろごろしているはずのこの屋敷に、この晩に限って一人もおりません。今頃、彼等は王子稲荷の衣裳榎とやらで狐の面をかぶって、夢中になって化かしつ化かされつしているところでしょう。