Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
こうして間毎間毎を存分に荒し廻った神尾主膳は、やや暫くあって、再び縁側から池のほとりへ身を現わしました。その吐く息は大風のように、身体の疲れきっているのは綿のようであろうとも、さいぜんからの主膳を物狂わしく働かせているのは、たしかに別に天魔波旬の力が加わっているのだから、絶え入らないところが不思議です。
再び池のほとりへ立っていた主膳は、やはり槍は持っていたけれども、獲物はありません。お銀様はついにいずれかの方角へ取逃がしてしまいました。
残念で、無念で、腹が立って、業が煮えてたまらない神尾主膳は、火のように燃える眼を瞋らして四方をながめる。その池の中がまた火のように燃えているのを認めました。池が燃えているのではない、この時分に、さいぜん焼き残しておいた土蔵の戸前の火が本物になって、炎々と燃え上り、その炎の色が、この池の水を真赤に染めているのです。
それと気がついて主膳が土蔵の方を見やると、植込の間から猛烈なその火勢がうずまきのぼる。火は土蔵の中へ侵入すると共に、その附近の木小屋へ燃えうつったものらしい。いよいよ本物の火事です。
その火炎の勢いを見て神尾がはじめて、やや溜飲を下げました。