Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
。
辰弥はサイド・テーブルの上にある品を見ていて、その表情を静かに硬ばらせた。外国製の万年筆とシャープペンシル、腕時計、革表紙の手帳、革製の横に長いがまぐち、上等な麻のハンカチーフ、洋銀にしゃれた模様を彫ったコンパクト、櫛などの脇に、自分の貯金通帳と認印があるのをみつけたのだ。
まさかと、初めは信じられなかった。手をつけてはいけないと云われているので、顔を近づけてよく見ると、住所氏名が自分のものであること、認印も自分の物であることがわかった。
――そうか、これで住所がわかったんだな。
そう思ったとき、抑えがたい怒りと悲しさがこみあげてき、われ知らず振向いて母に問いかけた。
「ここにぼくの貯金通帳があるけれど」と辰弥は云った、「どうしてこれをあにきが持ってたんだろう」
母はあにきを覗きこんだまま、それまでなにか云い続けていた口をぴったりとつぐみ、躯ぜんたいをちぢめて、なにか異常な事がおこるのを待ちでもするように、じっと呼吸をころしていた。
いけなかった、と辰弥はすぐに後悔した。きくまでもなかった、悪いことをした、と彼は思った。
母がとつぜん身をおこして、辰弥のほうへ振向いた。