Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
それは毎日三度、きまってのまなければならないのでうんざりするが、のまなければ胃弱が治らないのでやむを得ずのむ、といったような顔つきであった。
べいこく人は初めヤソ教という隠れ蓑で日本征服をこころみた。いわゆる宗教による民族奴隷化をたくらんだのであるが、徳川氏によってこの野望は壊滅し去った。そののち、――というふうに、先生の極めて独創的な議論が展開し、八田青年は涙ぐんだ。
これは八田忠晴が、憂国塾の塾生になって、一週間ほど経ったときのことである。――初め、八田青年がたずねて来て、塾生にしてもらいたいと云ったときには、塾頭である寒藤清郷のほうでびっくりした。
寒藤先生は、まっ黒な濃い眉の下の、すばらしく大きな、威嚇するような眼を糸のようにほそめ、疑わしげに八田青年の顔をみつめながら反問した。
きみはからかいに来たのか。
なにをですか、と青年は直立不動の姿勢で云った。
塾生になりたいということさ。
していただけないんですか。
いただかさないことはないが、と云って先生は考えた。慥かに、その貧しい長屋の門口には、「憂国塾」という看板が掲げてあるし、塾頭の名もはっきり記してある。