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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

先生がそこへあぐらをかき、縞ズボンの膝をつまんで皺を伸ばすのを眺めながら、治助はまだ怒りのおさまらない顔つきで、他人の女房を横取りするようなことは、仮にも先生と呼ばれる人間のすることではあるまい、と責めたてた。ぼくはそんなことは知らない、それは誰かの悪意から出たざんそにちがいない、と先生は答えた。

「先生がまずそんなふうにしっぺ返しをくらわせて、おれの出鼻をひっ叩くだろうとは、証人たちもいっていたよ、だがな先生、みんなが現に見ているんだ」と治助はいった、「おはつのやつがこのうちの裏からもぐりこんだうえ、一時間ぐらいするとこそこそ出て来て、頭の毛かなんかいじりながら、こそこそ帰ってゆくところをよ、え、先生、これでも知らねえっていい張る気かえ」

「待ちたまえ、まあ待ちたまえ」先生は顎髯を撫でた、「――そうか、うん、そういうことか、なるほどありそうだな」

「なにがなるほどだ」

「これはだな、治助くん」と先生はおちついていった、「証人が見たとか見ないとかという問題じゃなく、当人のおはちさん」

「おはつだといったろうが」

「その人にだ、いいかね」先生は切札を出すような口ぶりでいった、「その本人に来てもらえば黒白がはっきりする、ということじゃないかな、ぼくはそれがもっとも簡単明瞭な収拾策だと思うがどうだろう」