Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「おらあむずかしいこたあ知らねえ、むずかしくねえことも知らねえかしらねえがね、はー、どうしたらいいもんだか」

「するとすれば、警察へ捜索願いを出すだけだな」

「そんなこたあだめだ」治助は激しく頭を振った、「そんなことうすれば、かかあのめえの亭主や、めえのめえの亭主から捜索願いが出てるかもしれねえし、三つも四つも捜索願いがかち合ったら、たとえおはちのやつをみつけたって警察でも途方にくれるばかりじゃねえか、そんな突拍子もねえことは話にもならねえ」

先生は「へえー」といい、詮索するような眼で、治助のまっ黒な顔をつくづくと見まもった。

「とすれば」とやがて先生が云った、「そこにそうしていてもしょうがないだろう、帰ったらどうだ」

「ここにこうしていても」と治助は思いあぐねたように答えた、「しょうがねえことはわかってるが、さて、帰るかってえば帰る気持もおこらねえ、いつまでここにいるつもりもねえが、帰るって気にもならねえ、おはちのやつがいまごろ、どこでのたばってるかと思うと、おらもうきずげになりそだ」

先生は眼を剥いた。治助が暫くのち帰っていってからも、そしてまた晩めしの支度をしながらも、その眼は大きく剥きだされたままであった。