Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

に住んでいることも、かれらが自分じぶんの子を判別していることもよく知っていた。

妻のみさおは自分の腹をいためたのだから、むろん誰よりも熟知していたであろう。それを知らないのは子供たちと沢上良太郎だけだと信じられていた。

沢上良太郎は「良さん」と呼ばれていた。背丈はさして高くないが、よく肥えていて、まるまるとした顔は見るからに人がよさそうだった。太い眉毛も、小さくまるい眼も尻さがりで、唇が厚く、頬骨のところに肉が盛りあがっているため、小さくてまるい眼は、その肉瘤のかげから覗いているように感じられた。

良さんの顔はお人好しの条件をぜんぶ揃えている、とけちんぼの波木井老人が云った。眼も口も鼻も頬ぺたも耳もぜんぶ、お人好しの部分品ばかり集めてこねあげたものだ。

良太郎の顔をよく見ろ、とヤソの斎田先生は云った。あれはかみさんに催眠術をかけられて、その術からさめることができずにいる顔だぞ。

冗談じゃねえぞ、あのひとの眼をよっく見てみな、とおがみやのお常さんはまじめに云った。あれはしんから人をこばかにしている眼だ、人も神も仏も、てんからばかにしている眼だ。

かみさんのみさおは痩せた小づくりな躯で、顔も細く、頬骨が尖り、落ちくぼんだ眼はいつも、きらきらと、好戦的に光っていた。