Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
かつ子はおちついた眼で少年を見あげ、その眼をゆっくりと伏せながら、ごめんなさいね、とよく聞きとれない声で云った。岡部少年はかろうじてその言葉を理解したらしく、眸子をきらっとさせながらかつ子の顔を凝視した。
「ぼく、わかんないんだけど」と少年はしんけんな口ぶりで囁くようにきいた、「どうしてかっちゃんあんなことしたの、ねえ、どうしてなの」
かつ子はまた少年を見あげ、その眼をまた伏せながら、死んでしまうつもりだったと答えた。
「死ぬ気だったって、かっちゃんがかい」
かつ子は頷いた。岡部少年は首をかしげた。
「わかんないじゃないか、自分で死ぬ気で、それでぼくにあんなことをするなんて、どうしてさ」
かつ子はじっと考えてから、うまく云えない、と云った。いま考えてみると自分でもよくわからない、と云った。ただ死んでしまいたいと思ったとき、あんたに忘れられてしまうのがこわかった、自分が死んだあと、すぐに忘れられてしまうだろうと思うと、こわくてこわくてたまらなくなった、本当にこわくってたまらなくなったのだ、と云った。
「ふーん」岡部少年はまた首をかしげ、地面におろしたほうの足をペダルに戻し、反対側の足を地面におろした、「ショックだなあ」