Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「いまは諸事インスタント時代になったね」と一軒の問屋で彼は云った、「冷凍食品も流行で、たいていな魚肉が冷凍され、ビニール袋に入れて販売されている、ところで日本人ほどたやすく流行にかぶれる者もないが、飽きるのも世界一だ、このインスタント時代にはまもなくくたびれるだろうし、そうならないまでも山の手の屋敷町などの階級は、生きた川魚なんぞふだんでも手にはいらないから、持ってゆけばとびつくこと間違いなしだと思うがね」
「山の手ねえ」と問屋のおやじは云った、「ああいう人種はいったいに川魚なんかは嫌いだって聞いたがね」
「そりゃあ戦前のこったろう」春彦は確信のない調子で、だがはっきりと云い張った、「そりゃあ戦争まえのことだな、きっと、なにしろきみ」そこで彼は急に元気づいた、「なにしろいまはきみ、鮭や鰊が高級嗜好品になっちまった時代だからね」
問屋のおやじは、そう云えばまあそんなものだが、と煮えきらない返辞をした。
「しめたぞ、これは」その店を出た春彦は自分に云った、「専門の問屋でさえあのとおりだ、みんな知らないんだな」
「どうしてみんな、このことに気がつかないんだろう」