Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「塩鮭持ってないの、ときた」彼は籠を背負いあげながら口まねをした、「あんた、しおじゃけ持ってなーい、へっ、ここいらの山の手人種ときたら、へっ、あれで日本人かね」
「こっちは川魚を売りに来た」市電に乗ってからも、黙視しがたい不正に怒りを抑えかねた、といわんばかりな口ぶりで彼はつぶやいた、「だからちゃんと説明したじゃないか、これが鮒、こっちが鯉って、すると、あの女のすっとぼけが、まあきれい、ほんとにきれい、うろこが金色だわ、なんて、さんざっぱらとぼけたことをぬかしたあげくが、あんた塩、――」
土川春彦は宙をにらんだ。
その夜ちょろは、夕めしのあとで壮烈にしゃべった。例によって面白くも可笑しくもないことを、独りで上きげんにまくしたて、独りで膝をたたいたり、ひっくり返って笑ったりした。七代目かぼちゃであるところのばんくんは臆しもせずめげもせず、ま正面からその攻撃を受け止め、半歩も後退したり脇へよけたりしなかった。
「屋敷町の道傍でね、一人の百姓がきみ鮒と鯉を売ってたんだ」とちょろは話した、「そこへね、しゃれた洋装のマダムが通りかかってね、それなーにとのぞきこんだ」