Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

と福田くんは云った、「あのときぼくはもう学校をやめちゃって、そのまえに電機会社のほうが倒産しちゃったんですが、光子のやつも大衆食堂をよしちゃって、それが光子のやつが云うには、主婦は家庭を守ることが夫婦生活の本筋である、この本筋というのを、あいつはメイン・トラップだって云いましたよ、どう聞きかじったかしれませんが、日本語では本筋と云うんだって、――メインをちょっと変えると、まあいいですがね、――というわけで大衆食堂をやめちゃったでしょう、どうしたってぼくが生活費を稼がなければならなくなったんですが、あのとき職安の前でぼんやりしていたとき、いっそこのままどっかへ逃げちまおうかって考えてたんです」

「なぜ逃げちまわなかったんだ」

「相さんが声をかけたんですよ、事務系の仕事はないかってきいたら、そういう仕事は千分の一ぐらいしきゃないっていう、それでもう、これが逃げだすいいチャンスかな、と思ってたら」

「おれが呼びかけたってわけか」相沢は笑った、「いんねんだな、ああ、にんげん一生のうちには、そういう因縁にぶつかることが幾たびかあるそうだ」

「そうかもしれないが、ぼくはもうがまんが切れそうですよ、このごろじゃもう夜になると、――」