Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
と曾根隆助は云った、「先月の末でしたか、朝のまだ暗いうちに、お琴のやつが二階からおりて来たので吃驚しました、寝衣に細紐をしめただけの恰好です」
どうしたんだときいたら、お琴は平気な顔で、あらおまえさん起きたのと云い、「孝さんが起きないからいま起こしにいって来た」のだと答えた。
「そのときはまあそうかと思いました、その男は六時に勤めにゆくんです、いや、勤めにゆくために毎朝六時にうちをでかけるので、おくれちゃあいけないからってわけで、まあそんなこったろうと思いました」
そんなことが幾たびかあったのち、お琴は亭主をすっかりまるめこんだと思ったものか、一昨日の夜半、そっと起きだして二階へあがっていった。
「私はそれを見て、また起こしにいくんだな、間借り人を置くと女房もたいへんだなと思って、そのままうとうとしかけました」隆助は眼を細めて、うとうとしかけたようすを示し、それからその眼を急にみひらいた、「――うとうとしかけて、ひょっと気がついたのは、いまは朝ではなく夜なかだってことでした、私はおとついはおそくまで仕事で、疲れきってましたから八時に寝ちゃったんです、それで子供たちが寝るときの騒ぎも知らなかったんですが、お琴のやつが起きたんで眼がさめたんでしょう、とたんに時計が一時を打ったのを思いだしたんです」