Japanische Klassiker mit Furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme
「しかしあの女はなんだ」野本くんは唇を舐めてからいきなり云った、「きみは僕のワイフだと紹介した、だから僕たちは、僕はそう信じた、信じたればこそ頭をさげて挨拶したんだ」
「そうか、済まない」島さんはこくんとおじきをし、歯をみせて明るく笑った、「それは僕があやまる、なにしろ野人のうえにわがまま者なんで」
「きみにあやまってもらうことはない、僕はきみを責めているんじゃないんだ」と野本くんがさえぎって云った、「きみはいい人だし、僕はきみのために人間的義憤を感じているんだ、なんだいあの女は、あれでも人の妻だと云えるのかい」
松井くんが割ってはいろうとしたが、野本くんは手を振って拒み、自分で自分の言葉に感動しながら続けた。
「僕はいい、僕たちに対する無礼はいいよ、だが良人であるきみに対するあのやりかたはなんだ、主人が勤めから帰ったのに、お帰りなさいとも云わない、客があるのに挨拶はおろか茶も出さない、おまけに湯へいってくる、火はおこってるよって、冗談じゃない、どこの世界にそんな女房があるもんか、僕ならたったいま叩き出してやるよ」
「だからさ、野本くん、それは僕があやまるから」