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Japanische Klassiker mit Furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Lesen Sie 季節のない街 (きせつのないまち) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.379 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

やけなように警笛を鳴らしたうえ、これも急ブレーキをかけて電車を停める。――とらはそれを振返って見ている。軌道上に立停り、大きなまるい顔を振向け、なんだ、という眼つきで睨みつけるのである。

市電が確実に停車するのを慥かめてから、とらは悠然とあるきだす。ゆっくりと歩をはこぶので、左右の肩の肉が、くりっ、くりっと動くありさまが見えるのだ。

とらはこのように、人間どもに対してさえ、ボスであるところの自分の権威をゆずろうとしない。いつも正面から現実にぶっつかってゆき、それを突きやぶり、うち勝ってゆくのである。――半助はこの事実を知っているだろうか、これを知ったら、自分の生活態度を変えるであろうか。いつも誰かに殴られはしないかと、びくびくしながら身をちぢめ、息をころしているような生活から、ぬけだすことができるであろうか。

そうは思えない。とらが市電やバスを停車させたり、「天松」からてんぷらをせしめたりするのを見たとしても、自分のくらしぶりを変えようとは思わないだろうし、まずとらと自分との、くらしぶりを、比較する気にさえならないであろう。半助は半助であって、自分なりに人生の重荷を背負っていたのである。