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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

肺結核! 茫々たる野原にただひとり立つ旅客の、頭上に迫り来る夕立雲のまっ黒きを望める心こそ、もしや、もしやとその病を待ちし浪子の心なりけれ。今は恐ろしき沈黙はすでにとく破れて、雷鳴り電ひらめき黒風吹き白雨ほとばしる真中に立てる浪子は、ただ身を賭して早く風雨の重囲を通り過ぎなんと思うのみ。それにしても第一撃のいかにすさまじかりしぞ。思い出づる三月の二日、今日は常にまさりて快く覚ゆるままに、久しく打ちすてし生け花の慰み、姑の部屋の花瓶にささん料に、おりから帰りて居たまいし良人に願いて、においも深き紅梅の枝を折るとて、庭さき近く端居して、あれこれとえらみ居しに、にわかに胸先苦しく頭ふらふらとして、紅の靄眼前に渦まき、われ知らずあと叫びて、肺を絞りし鮮血の紅なるを吐けるその時! その時こそ「ああとうとう!」と思う同時に、いずくともなくはるかにわが墓の影をかいま見しが。

ああ死! 以前世をつらしと見しころは、生何の楽しみぞ死何の哀惜ぞと思いしおりもありけるが、今は人の生命の愛しければいとどわが命の惜しまれて千代までも生きたしと思う浪子。情けなしと思うほど、病に勝たんの心も切に、おりおり沈むわが気をふり起こしては、われより医師を促すまでに怠らず病を養えるなりき。