Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
今日正月三日というに、年賀をかねて浪子を伴ない加藤家より浪子の実家を訪いたるなり。
武男が母は昔気質の、どちらかといえば西洋ぎらいの方なれば、寝台に寝ねて匙もて食らうこと思いも寄らねど、さすがに若主人のみは幾分か治外の法権を享けて、十畳のその居間は和洋折衷とも言いつべく、畳の上に緑色の絨氈を敷き、テーブルに椅子二三脚、床には唐画の山水をかけたれど、間には亡父通武の肖像をかかげ、開かれざる書筺と洋籍の棚は片すみに排斥せられて、正面の床の間には父が遺愛の備前兼光の一刀を飾り、士官帽と両眼鏡と違い棚に、短剣は床柱にかかりぬ。写真額数多掛けつらねたるうちには、その乗り組める軍艦のもあり、制服したる青年のおおぜいうつりたるは、江田島にありけるころのなるべし。テーブルの上にも二三の写真を飾りたり。両親並びて、五六歳の男児の父の膝に倚りたるは、武男が幼きころの紀念なり。カビネの一人撮しの軍服なるは乃舅片岡中将なり。主人が年若く粗豪なるに似もやらず、几案整然として、すみずみにいたるまで一点の塵を留めず、あまつさえ古銅瓶に早咲きの梅一両枝趣深く活けたるは、温かき心と細かなる注意と熟練なる手と常にこの室に往来するを示しぬ。