Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme
の時期少なくとも一度はあるものなり。去年以来千々岩はこの瀬戸に舟やり入れて、今もって容易にその瀬戸を過ぎおわるべき見当のつかざるなりき。浪子はすでに武男に奪われつ。相場に手を出せば失敗を重ね、高利を借りれば恥をかき、小児と見くびりし武男には下司同然にはずかしめられ、ただ一親戚たる川島家との通路は絶えつ。果てはただ一立身の捷逕として、死すとも去らじと思える参謀本部の位置まで、一言半句の挨拶もなくはぎとられて、このごろまで牛馬同様に思いし師団の一士官とならんとは。疵持つ足の千々岩は、今さら抗議するわけにも行かず、倒れてもつかむ馬糞の臭をいとわで、おめおめと練兵行軍の事に従いしが、この打撃はいたく千々岩を刺激して、従来事に臨んでさらにあわてず、冷静に「われ」を持したる彼をして、思うてここにいたるごとに、一肚皮の憤恨猛火よりもはげしく騰上し来たるを覚えざらしめたり。
頭上に輝く名利の冠を、上らば必ず得べき立身の梯子に足踏みかけて、すでに一段二段を上り行きけるその時、突然蹴落とされしは千々岩が今の身の上なり。誰が蹴落とせし。千々岩は武男が言葉の端より、参謀本部に長たる将軍が片岡中将と無二の昵懇なる事実よりして、少なくも中将が幾分の手を仮したるを疑いつ。