Japanische Klassiker mit Furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lesen Sie 山の人生 (やまのじんせい) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 116.022 Zeichen · 226 Bildschirme
その時も茫としたような気がしたが、えらい声で母親がどなるのでたちまち普通の心持になった。この時の私がもし一人であったら、恐らくはまた一つの神隠しの例を残したことと思っている。
これも自分の遭遇ではあるが、あまり小さい時の事だから他人の話のような感じがする。四歳の春に弟が生まれて、自然に母の愛情注意も元ほどでなく、その上にいわゆる虫気があって機嫌の悪い子供であったらしい。その年の秋のかかりではなかったかと思う。小さな絵本をもらって寝ながら看ていたが、頻りに母に向かって神戸には叔母さんがあるかと尋ねたそうである。じつはないのだけれども他の事に気を取られて、母はいい加減な返事をしていたものと見える。その内に昼寝をしてしまったから安心をして目を放すと、しばらくして往ってみたらもういなかった。ただし心配をしたのは三時間か四時間で、いまだ鉦太鼓の騒ぎには及ばぬうちに、幸いに近所の農夫が連れて戻ってくれた。県道を南に向いて一人で行くのを見て、どこの児だろうかといった人も二三人はあったそうだが、正式に迷子として発見せられたのは、家から二十何町離れた松林の道傍であった。