Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
おや三枝さんの別荘へでも行くのかなと思っていますと、爺やはそこも素通りして、ずんずん日向さんの家へはいって行って、裏の方へまわったらしくそのまま姿を消してしまいましたので、うちの爺やが日向の爺やのところを訪ねて行くなんて珍らしい事もあればあるもんだと、ちょっと怪訝におもいましたが、私はそのときはそれを見届けたきりで先きに帰って来てしまいました。
「その晩、私は爺やを炬燵の中へ呼んで、『珍らしいことをきいたが、爺やは何んだってな、この頃日向の爺やのところへ入浸しになっているそうじゃないか、どうしたんだい』と知らん顔をして訊きますと、爺やは神妙な顔をして、『病気だもんで、わっしゃちょっくら見舞ってやってるだあ』と何んの事もなさそうに言います。どんな塩梅だときいてみると、爺やの話ではよく分かりませんが、どうも胃癌らしい。それにもう寝たっきりで、再起ののぞみもないようでした。「おかしなもので、ふだんはあんなに仲の悪かったうちの爺やが、相手がそんな具合に病気になってしまうと何かと一人で面倒を見てやっていたのです。そんな昔の喧嘩相手の世話になりきっている向うの爺やも爺やです。