Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
締まっていて、ひっそりとしています。
「爺やはこの頃は自分で建てた裏の掘立小屋に全く住みついてしまったようでした。三枝さんのところを見まわる度に、よっぽどその裏の小屋へまわって声でも掛けてやろうかと思うのですが、私なぞが寄ってやったって何しに来たというような無愛想な顔しか見せない爺やのこと故、いつも何んだか気がすすまなくなって、またこんどにでもしようと思って途中から引っ返して来てしまうのが常でした。
「十二月になって、雪が二三度降り、いよいよ冬籠りをしだした時分になってから、うちの爺やがどうもこの頃うちを明けてばかりいるのに漸っと気がつき出しました。爺やも変り者ですから、何かまた一人でこそこそやっているなと思って、少し気がかりな事もありましたので、或雪ぐもりの日、ふいとまた爺やが出掛けて行きましたので、私もあとをつけて行きました。冬になると、林もなにも裸になって、何処もかもすっからかんと見透せるものですから、人に見つからないようにあとをつけて行くのは容易ではありません。が、爺やは何んにも気づかずに、お古の長靴で湿った落葉を踏んで、林の中をずんずん歩いて行きます。