Japanische Klassiker mit Furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Lesen Sie 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.965 Zeichen · 169 Bildschirme
私は寝呆けたように、その真ん中に坐ると、急に怒ったように、そこいらに散らばっていた花札を一つずつ襖の方へ投げつけ出した。……
おばあさんはそんな私にやっと気がつくと、別に小言もいわず黙ってその花札を取り上げた。それからしばらくすると、私は半分睡ったまま、佐吉の背中におぶせられて、おばあさんと三人きりでおもてへ出た。それから私達は、おばあさんの手にした小さな提灯のあかりで、真っ暗な夜道を歩き出した。ところどころ風立った藪のそばなんぞを通り過ぎてゆくらしかった。私はときどき薄目をあけてはそういうものを見とがめ、一々それをおばあさんに訊いたような気がする。すると、おばあさんはそれに二言三言返事をしてくれた。なにを言うたやらも私には分からなかったが、何か私の気を休めるのに一番好いことを言うてくれたと見え、私はすぐまた佐吉の肩にしがみついたまま、すやすやと寝入ってしまうのだった。……
あくる朝、私が目を覚ましたのは、あの小梅の、尼寺にちかい、おばさんの家だった。私は一日じゅう元気がなく、しょんぼりとしていた。そして父や母のことさえ、なぜか、なんにも訊かなかった。