Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「しかし、追い出すといっても、簡単に出ていく男じゃないからなあ」
「あなたがびしびしとやりゃあ、そんなことなんでもねえじゃありませんか。造作のねえことですよ。面倒なときゃあ、正勝の野郎一人ぐれえなら畳んでしめえばいいんだからなあ。叩き殺して谷底へでも投げ込んでしめえば、それで片づいてしまうんだもの」
「しかし、紀久ちゃんの気持ちが最近ではぼくのほうよりも正勝くんのほうへ傾いているかもしれないのだから、紀久ちゃんが帰ってきて、正勝くんより逆にぼくのほうが追い出されるかもしれないからなあ」
「そんなら、お嬢さまの帰ってこねえうちに、いまのうちにやってしめえばいいですよ。まず試しに、何かあいつのいやがることを言いつけて、無理にでもさせるんだなあ。それで、あいつが言いつけどおりにやらねえんなら、おれたちが黙っていねえから」
「いったい、正勝の野郎は今日は何をしてるんだ? 今日は朝から見えねえじゃねえか?」
松吉が突然、思い出したようにして言った。
「今日は浪岡に乗って、放牧場のほうで鉄砲を撃って歩いていたよ」
「浪岡に乗って?」
敬二郎は驚きの表情で、訊き返した。
「近ごろは正勝の野郎、浪岡にきり乗りませんよ」