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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

(いったい、紀久ちゃんはおれと正勝との、どっちを愛しているのだろう?)

敬二郎はそれを考えると、じっとしてはいられなくなってくるのだった。紀久子が正勝の命のままに動いて、吾助茶屋まで金を届けに行ったことを聞いてからというもの、敬二郎の不安と憂鬱とがなおひとしお激しくなってきた。同時に、正勝に対する憎悪が敬二郎の頭には火の車のように駆け巡っていた。五臓六腑の煮え繰り返るような焦燥に駆られて、敬二郎は夜もろくろく眠ることができなかった。その不眠の焦燥がまた彼の神経をなおも酷く衰弱させて、さらに激しい憂鬱と不安との渦巻きの中に追い込んだ。皮膚と筋肉との間を痛痒い幾百の虫が駆け巡っているような憂鬱感だった。敬二郎にとっては、もはや生命を懸けての決心を持つべきときだった。

(紀久ちゃんを失うことは、同時にまた森谷家の相続権をも失うことだ。紀久ちゃんと森谷家の相続権と、この二つを失ってしまったら、自分にはいったい何が残るだろう? 何物もないではないか?)

敬二郎はそれを考えて、憂鬱な溜息を繰り返さずにはいられなかった。

(あらゆるものを失って惨めな姿で生きているくらいなら、いっそのこと死んでしまったほうがいいのだ)