Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
だれかがその時、こつこつとドアを叩いた。
「婆や? お入り」
婆やは腰を屈めながら入ってきた。その手には、白樺の皮を握っていた。二人の目は驚異の表情を湛えて、その自樺の皮の上に走った。
「正勝さんからって……」
婆やは気兼ねらしく低声に言って、紀久子の顔色を覗いた。紀久子は真っ青になってわなわなと顫えていた。彼女は顫えながら、泣きだしそうな顔をして静かに手を出した。
「正勝はまた、吾助茶屋に行っているのでしょう」
「いったいまた、何を言ってきたんだ?」
敬二郎は怒鳴るように言って、横から白樺の皮をひったくった。
「また? なんという失敬な奴だ! 行く必要があるものか」
敬二郎は胸を激しく波打たせながら、怒鳴った。
「困ってしまうわ。婆や? いますぐ行くからと言って、帰らしておくれ」
「まいりますか?」
婆やはそう念を押して、怪訝そうな顔をしながら出ていった。
「紀久ちゃんはそれじゃ、行くんだね?」
敬二郎は顔を引き歪めながら唇を噛んだ。
「でも、手紙には来いと書いてあるのでしょう?」
「――ただいま吾助茶屋にて盃を重ねおり候。しかし、あなたなしではまったくつまらなく存じ候。