Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
3
紀久子はそして、無感情な機械人間のように吾助茶屋の中へふらふらと入っていった。
「おっ! 紀久ちゃんか? 来たね」
正勝がぐっと立ち上がって言った。
「お嬢さまですか? 暗いところをよくまあ。炉のほうへ、さあ寄ってくだせえ」
開墾地の喜代治が頭を下げながら言った。しかし、紀久子はそれには答えずに、魂の脱殼のようにただふらふらと正勝のほうへ寄っていった。開墾地の四、五人ばかりの目は、驚異の表情をもっていっせいにその姿を追った。
「紀久ちゃん! 一緒に飲もう」
正勝は大きな椀に酒を注いで紀久子のほうへぐっと差し出した。紀久子はすると、無表情のままでひと息に飲んだ。正勝も怪訝そうな顔表情を含んで、じっと紀久子を見た。
「紀久ちゃん! 一緒に踊ろうか?」
正勝はそう言うなり紀久子の肩に手をかけて、足を上げ手を振りながら踊りだした。開墾地の人たちはでたらめな歌を歌いながら、徳利や盃を叩き鳴らした。
「お嬢さまは、いよいよ気が変だぞ」
喜代治は徳利を叩きながら、傍らの与三爺の耳へそっと囁いた。
「おれも、さっきからそう思って見てるところだ」
その時、紀久子がばったりと倒れた。