Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしもうすぐあなたのところへ行くわ」

紀久子はそして、敬二郎の死骸に顔を押し付け、その手を固く握った。紀久子はふと、敬二郎の手に握られているピストルに気がついた。紀久子はそれを取ってしばらくじっと見詰めてから、なおもそこに弾丸の残っていることを確かめると、唇を噛み締めながらそのピストルを自分の帯の間に差し込んだ。

紀久子はそして、ある決心の表情を浮かべながら決然として部屋を出ていった。しかし、彼女は間もなく戻ってきた。彼女の両手には二つの石油缶が提げられていた。彼女は戸口を入ると、戸口をさっと開いておいて、ストーブのところから戸口のほうへ向け、戸口から廊下のほうに向かって、ざーっと二缶の石油をぶち撒いた。

それから、紀久子はふたたびストーブの前へ駆け戻って、そこにある腰掛けを取り上げるとそれでストーブをぐいっと押し倒した。ストーブは煙突から外れて真っ赤な火をこぼしながら、床の上へがらがらと倒れた。次の瞬間、ストーブから飛び出した火の塊は床の上へ溜っている石油の池の上を、戸口のほうへ向けてちちっと走っていった。

紀久子はその隙に敬二郎の死骸を抱き上げて、南面している戸口のほうからバルコニーのほうへ駆け出していった。