Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
爺は事実、よろよろとふた足ばかりよろめいた。
「どうしたってんだい!」
敷石道のほうへ荷車を引き寄せながら爺は怒鳴った。
貨物自動車や市営バスやタクシーは、二十間(約三六メートル)ほど先の交差点のところからつかえてきていた。そこには、群衆が真っ黒な垣をぎっしりと作っていた。
「何があるってんだい? お祭り騒ぎべえなくさって!」
爺はもう一度そう怒鳴って、そこに立ち停まった自動車の間を縫ってようやく前のほうへ出ていった。青物市場の出場時刻が切れるので、爺はうっかりしていることができなかった。
「どうしたんだね? 何さまがお通りになるのかね?」
ようやくその人垣の背後まで辿り着いたとき、吾平爺はそのいちばん後ろに立っている一人の学生を掴まえて訊いた。
「そうじゃないんです。今日ここで、活動の俳優を呼んだんだそうです。それでみんなこうして、その俳優の来るのを待っているんでしょう」
「活動の俳優って、つまり、活動の役者だね?」
「ええ、それに、外国の有名な活動俳優も来るとかいうので……」
「いずれにしろ、それじゃ大したこっちゃねえわけだね? おれ、何さまかのお通りだと思って……役者っていやあ、なんでえ、芸人じゃねえか。