Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
爺はそう言って、車の梶棒で人々を掻き除けるようにした。
「おい! 気をつけろ! 老耄め!」
「こんなところへ荷車を曳いてくる奴があるか?」
罵倒の言葉を怒鳴りつけながらも、爺のために人々は少しずつ道を空けた。爺は一所懸命だった。なんと言って罵られても言葉を返さずに、人垣の薄れていくところを目がけては車を曳き進めた。
「こらこらっ! そんなところへ車を曳いてきちゃ駄目じゃないか? これが見えんか?」
青白筋の腕章を巻いた警官が怒鳴った。交差点のGO・STOPはいまSTOPの字版を示していっさいの交通を遮断していた。
「他人の迷惑になるのが分からんか?」
しかし、吾平爺はそのままそこに立ち停まってしまうわけにはいかなかった。いまそこに立ち停まることは、今後の生活のいっさいを立ち停まるのと同じだった。今日、もし時刻に遅れて青物市場に入場することができないとすれば、ただそれだけで彼のわずかばかりの資本はすべて消滅してしまうような結果になるのだった。爺は気が気でなかった。だが、映画俳優の来るのを気長に待っている人々のために示されたこのSTOPは、いったいいつまで続くのか分からなかった。