Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
「旦那! ちょっと待ってください」
潮のようにどよめきだした群衆の中から、茶色の作業服を着た中年の男が叫ぶようにして巡査の前へ出ていった。
「なんだ? きみはこの男を知っているのかい?」
巡査は立ち止まって言った。
「はい。同じ工場に働いている男なもんですから。……旦那! できることなら、わたしに預けてくださいませんかな。この男は気が変になったっていっても、神経衰弱がひどくなったんで、大したことはないんで……工場の者はみんなよく知ってるんですが、あることからひどく鬱ぎ込んで、まあ、神経衰弱がひどくなったんで……」
「別に罪を犯しているというんじゃないから、きみの知っている人間で、引き取っていって保護を加えるというのなら、そりゃあ引き渡すがね。しかし、どうも意識を失っているというような点もあるから、よほどその、気をつけないというと……」
「吉本! いったいどうしたんだよ。え? しっかりしろよ」
茶色の作業服は、青い作業服の肩を叩きながら言った。青い作業服の吉本は自分で自分が分からないらしく、首を傾けて考え込むようにした。
「本当にしっかりしなきゃ、駄目じゃねえか?」