Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
楓かしら!」
紀久子はパラソルを窄めながら言った。
「あれは山毛欅じゃないかな? 山毛欅か楡でしょう。楓ならもっと紅くなるから」
馬車はそして、原生林帯の中へ入っていった。道はそこで一面の落ち葉にうずめられ、もはや一分の地肌をも見せてはいなかった。落ち葉の海! 火の海! 一面の落ち葉は陽に映えて火のように輝いていた。そして、湿っぽい林道の両側には熊笹の藪が高くなり、熊笹の間からは闊葉樹が群立して原生樹林帯はしだいに奥暗くなっていった。暗灰褐色の樹皮が鱗状に剥き出しかけている春楡の幹、水楢、桂の灰色の肌、鵜松明樺、一面に刺のある※木、栓木、白樺の雪白の肌、馬車は原生闊葉樹の間を午後の陽に輝きながら、ばらばらと散る紅や黄の落ち葉を浴びて、落ち葉の道の上をぼこぼこと転がっていった。
「ほいやっ、しっ!」
道はその右手に深い渓谷を持ち出して、谷底の椴松林帯はアスファルトのように黒く、その梢の枯枝が白骨のように雨ざれていた。谷の上に伸びた樹木の渋色の幹には真っ赤な蔦が絡んでいたりした。馬車はぎしぎしと鳴り軋みながら、落ち葉の波の上をぼこぼこと沈んでは転がり、浮かんでは転がっていった。