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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「困るな。はは……困った人だな」

「あなたは本当に、なにも知らないの? 本当に知らないなら話してあげるわ。まあ、わたしの話を聞いていらっしゃい! ね」

彼女はそう言いながら、彼を引っ張った。彼は引っ張られるままに橋の袂へ行った。そこには、これから架橋工事が始まるらしく四角に截った御影石が幾つもごろごろと置いてあった。彼女は彼の手を掴んだままその一つに腰を下ろした。彼もその傍らに腰を据えた。

「そら、あなた、あの泣き声が聞こえない? 聞こえるでしょう? 坊やの泣いているのが……ね?」

彼女はそう言って、靄の上に蜃気楼のように浮かんでいる高層建築のほうを指さしながら、聞き耳を立てるようにした。

「ぼくには、そんな泣き声なんか聞こえませんがね。あなたは頭がどうかなってるのじゃないですか?」

「わたしの頭がどうかなったっていうの? そりゃ、頭もどうにかなりそうだったわ。気がおかしくなりそうだったわ。でもわたし、あなたを捜し当てるまでは、捜し当てるまではと思って、おかしくならないでいたのよ。おかしくならないでいて、あなたに何もかも話してあげなければいけないと思っていたのよ」