Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
彼女はしいて気持ちを静めようと努めながら、静かに教室の中へ入っていった。
「房枝さん」
鈴木女教員は軽くその女生徒の背中を叩きながら、低声に呼んだ。しかし、女の子は顔を上げなかった。鈴木女教員はその瞬間に、窓にかかっている洋服を思い出した。やはり目を覚まさないでいてくれるほうがいいのだと思った。鈴木女教員は房枝をそのままそっとしておくようにして、静かに窓際へ寄っていった。そして、しゃがむようにしてポケットの中へ手を突っ込んだ。
房枝は鈴木女教員がポケットへ手を突っ込んだちょうどその時、顔を上げて彼女の後姿を追ったのだった。そして、房枝はもう少しで叫び声を上げるところだった。自分のもっとも敬愛している鈴木先生が、そこの窓にかかっている他人の洋服のポケットに手を突っ込んで何か探しているのを見たからだった。のみならず、鈴木先生がそのポケットの中に探り当てたものを、素早く自分のポケットの中へ押し込んだからだった。房枝は見てはいけないものを見たのだった。彼女はすぐにまた机の上に顔を伏せてしまった。胸がどきどきと騒ぎだしている。
「房枝さん、房枝さん」
鈴木女教員はまた房枝のところへ戻ってきて、その肩を叩いた。