Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「わたしもう乗馬をやめるわ」

「なにもやめることなんかあるものか。初めはだれだってそう思うもんだ。しかし、そこを押し通さなくちゃ何事も上達はせんもんじゃからなあ」

「でも、わたしなんか駄目だわ」

「とにかく、花房で当分練習してみるといい。花房なら胴が細いから脚も締まるしもよくやるし、きっとおまえの気に入ると思うから」

「わたしもう乗馬なんかあっさりやめてしまうわ」

「やめてしまわんでもいいじゃないか? 停車場へ敬二郎を送るときだって、これからは馬車などで送らないで馬で送っていくようにならないといかんよ」

喜平はそう言って、大口に林檎を頬張った。紀久子は父親の言葉に衝かれたらしく、伏せていた目を上げて父親の顔を見た。紀久子のその顔は燐光を浴びてでもいるように病的なほど青く、窶れてさえいた。

「馬で送っていって、そして帰りには敬二郎の馬も一緒に曳いて帰れるようにならんとなあ」

父親は微笑しながら、戯れめく口調で言うのだった。

そこへ、正勝がのっそりと歩み寄ってきた。喜平はすぐそれに気がついて目をやった。紀久子もそこに目を向けた。その瞬間に、紀久子は急に顔色を変えて恐怖の表情を湛えた。