Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「お嬢さま! お嬢さまはどこかお悪いのじゃございませんか」

「なんでもないわ。どこも悪くないのよ。脳貧血を起こしたのだわ」

「脳貧血だって、どこかお悪くないと……お嬢さまは、昨夜からなんとなくお顔の色が悪くて、ご心配事でもあるようなご様子でございましたよ」

「なんでもないのだわ」

「なんでもなければようございますが、何かご心配事でもございましたら、なんでもわたしに打ち明けてくだされませな。わたしはお嬢さまのことなら、生命に懸けてもいたそうと思っているのでございますからね」

「婆や、なんでもないんだからもうあっちへ行っててよ」

またその時、いままで森閑としていた隣室から父親喜平の激しく怒鳴る声が、雷よりも凄まじい勢いをもって紀久子の耳朶を襲ってきた。

「言えっ! 言えったら言え! その秘密というのを言ってみろ! 正勝! てめえはなんで黙っているんだ?」

その激しい態度は、いまにも掴みかかっていきそうに感じられた。

「婆や! お父さまを呼んできてよ。早くお父さまを呼んできてよ。早く! 婆や!」

紀久子はベッドの上に半身を起こして、恐怖に戦きながら狂的に叫んだ。

「お嬢さま! 大丈夫でございますよ。