Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
そして、その言葉がいまにも自分の身内へ飛び込んできて、自分の心臓を滅茶めちゃに噛み荒らすような気がするのだった。紀久子の心臓は熱病患者のように燃えながら顫えた。
(正勝さんがあの秘密を明かしたら、わたしはどうなるのだろう?)
紀久子はそう思うと、恐ろしいことの来ないうちに消えてしまいたいような気がするのだった。
しかし、もうどうにもならないことだった。父の喜平と正勝との対峙の場所へ飛び出して、正勝の口を塞ぐことのできないのはもちろんだったし、正勝が一度その口にした秘密という言葉に対する父の追及を、いまさら制止することもできなかった。紀久子はただじーっとして、恐ろしい現実が波紋を描いて広がるのを待っているよりほかには仕方がなかった。紀久子のただ一つの希望は、その不気味な沈黙が沈黙のままに終わってしまうことだけであった。
沈黙が不気味のままに続きだすと、喜平は書卓の上へがたりと鞭を投げ出して荒々しく煙草に火を点けながら、目を三角にして怒鳴った。
「さあ! 言え!」
しかし、正勝は顔を上げなかった。
「言え! その秘密ってのを言え!」
喜平は怒鳴りつづけ、追及しつづけた。