Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
正勝の思いはしだいに悪魔的になってきた。彼の敬二郎と紀久子とに対する遣る瀬ないような復讐心は、復讐のことを考えるだけでも幾分は慰められるのだった。彼は馬の歩むに委せて、その考えのうちに没頭した。
(しかし、紀久子だってただ簡単に鉄砲で撃ち殺したのでは面白くない。敬二郎よりもだいいち、あの女を苦しめてやらなければならないのだ。何もかも、あの女から出発していることなのだから……)
彼はそう考えて、その脳髄の隅に新たな積極的な復讐の手段を探った。
(そうだ! 谷底を目がけて馬車をひっくり返すことだ。そうだ! おれは馭者台から飛び降りておいて、馬車を谷底へ追い込んでやることだ。馬が谷を目がけて駆け下りなかったら、馬を押し落としてでもあいつらごと馬車をひっくり返してやるんだ。それだけでは万一に死ななかったにしても、谷から這い上がってくるまでには熊のために食い殺されるに相違ないから……)
しかし、馬車はもう谷の上を過ぎて、道の両側にはふたたび原生樹林が続いていた。
(なぜこの手段をもっと早く思いつかなかったのだろう?)
彼はそう心のうちに呟いて、馬車がすでに谷の上を過ぎていることを残念がった。