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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「え!」

「蔦代が、蔦代が、蔦代が殺したことにしねえといけねえのだ」

「蔦代が?……」

紀久子はそう言ったが、彼女は正勝の言うことが分かっているのではなかった。彼女には何もかもが、全然分からなかった。正勝の顔が自分の前に見えていることさえ、紀久子ははっきりと意識することができないような状態になった。正勝が言っていることの、いかなる意味であるかなど、紀久子は全然消化する力を失っていた。

「紀久ちゃん! 分かるか?」

正勝はしかし、念を押しながら続けた。彼もまた、沸騰するような心臓の動悸のために苛立っていて、判断力を失っているのだった。

「蔦代が殺したことにするんだ。紀久ちゃんは、蔦代が入ってきて父さんを刺したのだ! って言えばそんでいいんだ。そ、そ、そして、それから、蔦代がわたしのほうへ寄ってきたから、わたしは蔦代を鉄砲で撃ったのだ! って言えばそんでいいんだ。紀久ちゃんはそれで立派に正当防衛になるんだから」

「…………」

紀久子はやはり黙りつづけていた。黙って、彼女はじっと正勝の顔を見詰めていた。正勝の言っている言葉の意味を、彼女はどうしても消化することができないのだった。