Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
そこで、正勝は蔦代の死体を抱き起こした。抱き起こしておいて蔦代の手の甲をその上から握り、自分の力でその短刀を喜平の胸の傷口へ突き刺した。喜平の胸の血が蔦代の青白い手に、赤黒くべっとりとついた。そして、正勝はその手を胸から抜き取らせると、今度は蔦代の死体を右手に支えながら左の手で喜平の死体を半起こしにして、二つの死体を組みつかせるようにした。蔦代の死体の胸には喜平の胸の傷口の血糊がべっとりとつき、蔦代の手の短刀が喜平の咽喉部に触れた。そこで正勝は、喜平の死体をベッドの上にどんと倒し、ふたたび蔦代の手の甲を握って喜平の咽喉部に短刀を突き刺した。今度は傷口へそれを突っ込むようなわけにはいかなかった。短刀はわずかに突っ立ったばかりで、柄が蔦代の掌の中から突き出た。
「紀久ちゃん! 起きてくれ。ベッドの上へ、半分ばかり身体を起こしてくれ。いまはじめて気がついたように、身体を半分起こしてくれ」
正勝はそう言いながら、ベッドの横の血溜りに蔦代の足を立たして、その足を血に染めた。
「紀久ちゃん! こっちから斬りつけていくような恰好で紀久ちゃんのほうへ寄っていくから、おれが動けって言うまでそのままにしていてくれ」