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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「ほいやっ!」

鞭が玻璃色の空気の中にぴゅっと鳴った。

「正勝! 蔦やじゃない?」

「さあ?」

正勝は簡単に片づけた。彼は自分の妹について、ほとんど無関心のような態度を見せた。

「正勝! おまえは呑気ね。自分の妹じゃないの? 正勝!」

「妹かしれませんが、しかしおれの知ったことじゃないです」

「正勝! おまえはこのごろ少し変ね?」

そのとたんに、少女はくるりと背後を振り返った。

敬二郎が言った。

「蔦代だ」

「蔦やだわ。どこへ行く気なのかしら? あの子は……」

馬車はそのうちにもしだいに近く、蔦代の背後に接近していった。蔦代は狼狽の物腰を見せて、後ろを振り返り振り返り早足に急いだ。

しかし、馬車がいよいよ彼女の後ろに接近してその横を通り過ぎようとしても、正勝は馬車を停めようとはしなかった。

「正勝! 馬車をお停めよ! おまえはずいぶんと薄情なのね、自分の妹が一人で歩いているのに……」

紀久子は冷厳な態度で言った。正勝は無言だった。彼は黙々として馬車を停めただけだった。

「蔦や! おまえはどこへ行くの?」

紀久子は馬車の上から声をかけた。

しかし、蔦代は路傍に馬車を避け、顔を伏せたまま答えようとはしなかった。