Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

なぜやくざな

不透明な雲の中に逃避しているのだ!

烏よ! 風よ!

あの白々とさえかえった

富士山の肩を叩いてやれ

あれは銀の城ではない

不幸のひそむ大悲殿だ

富士山よ!

お前に頭をさげない女がこゝに一人立っている

お前を嘲笑している女がここにいる

富士山よ

富士よ!

颯々としたお前の火のような情熱が

ビュンビュン唸って

ゴウジョウな此女の首を叩き返えすまで

私はユカイに口笛を吹いて待っていよう。

私はまた元のおゆみさん、胸にエプロンをかけながら、二階の窓をあけに行くと、ほんのひとなめの、薄い富士山が見える。

あゝあの山の下を私は何度不幸な思いをして行き返えりした事だろう。でもたとえ小さな旅でも、二日の外房州のあの亮々たる風景は、私の魂も体も汚れのとれた美しいものにしてしまった。

旅はいゝ、野中の一本杉の私は、せめてこんな楽みでもなければやりきれない。

明日から紅葉デーで、私達は狂人のような真紅な着物のおそろいだそうな、都会はあとからあとから、よくもこんなチカチカした趣考を思いつくものだ。

又新らしい女が来ている。

今晩もお面のようにお白粉をつけて、二重な笑いでごまかしか……うきよとはよくも云い当てしものかな――。