Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
銀行の横を曲ろうとしたその男の黒い影へ私は思い切りビールびんをハッシと投げつけた。
「ビールが呑みたきゃ、ほら呑ましてやるよッ。」
けたゝましい音をたてゝ、ビールびんは、思い切りよく、こなごなにこわれて、しぶきが飛んだ。
「何を!」
「馬鹿ッ!」
「俺はテロリストだよ。」
「へえ、そんなテロリストがあるの……案外つまんないテロリストだね。」
心配して走って来たお君ちゃんや、二三人の自動車の運転手達が来ると、面白いテロリストはボアンと路地の中へ消えてしまった。
こんな商売なんて止めようかなア……。
そいでも、北海道から来たお父さんの手紙には、御難つゞきで、今は帰る旅費もないから、送ってくれと云う長い手紙を読んだ、寒さにはじきへこたれるお父さん、どんなにしても四五十円は送ってあげよう。
も少し働いたら、私も北海道へ渡って、お父さん達といっそ行商してまわってみようか……。
のりかゝった船だよ。
ポッポッ湯気のたつおでん屋の屋台に首を突込んで、箸につみれを突きさした初ちゃんが店の灯を消して一生懸命茶飯をたべていた。
私も昂奮した後のふるえを沈めながら、エプロンを君ちゃんにはずしてもらうと、おでんを肴に、寝しなの濁り酒を楽しんだ。