Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
」
三階建の此ガクガクのアパートが、火事にでもならないかしら。
寝転ろんで新聞を見る。
きまって目の行くところは、芸者と求妻と、貸金と女中の欄だ。
「お姉さん! こんど常盤座へ行かない、三館共通で、朝から見られるわ、私歌劇女優になりたくて仕様がないのよ。」
ベニは壁に手の甲をぶっつけながら、リゴレットを鼻の先きで唄っていた。
夜
松田さん遊びに来る。
私は此人に拾円あまりも借りがあって、それを払えないのがとても苦しい。あのミシン屋の二階を引き払って、こんな貧乏アパートに越して来たのも一つは松田さんの親切から逃げたい為だった。
「貴女にバナヽを食べさせようと思って持って来たのです。食べませんか。」
此人の言う事は、一ツ一ツ何か思わせぶりな言いかたになる。
本当はいゝ人なんだがけちでしつこくて、小さい事が一番嫌いだった。
「私は自分が小さいから、結婚するんだったら、大きい人と結婚するわ。」
いつもこう言ってあるのに、此人は毎日のように遊びに来る。
さよなら! そう云って帰えって行くと、非常にすまない気持ちで、こんど会ったら優しい言葉をかけてあげようと思っても、こうして会うと、シャツの目立って白いのなんかとてもしゃくだった。