Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
「ふん。」
沈黙って冷く手を握りあった。
赤い色のかった服装を胸に描いて来た私にお夏さんの姿は意外だった。まるで未亡人か何かのように、何もかも黒っぽい色で、唇だけがぐいと強よく私の目を射た。
椿の花のように素的にいゝ唇。
二人は子供のようにしっかり手をつなぎあって、霧の多い京の街を、わけのわからない事を話しあって歩いた。
昔のまゝに京極の入口には、かつて私達の胸をさわがした封筒が飾窓に出ている。
だらだらと京極の街を降りると、横に切れた路地の中に、菊水と云ううどんやを見つけて私達は久し振りに明るい灯の下に顔を見合わせた。私は一人立ちしていても貧乏、お夏さんは親のすねかじりで勿論お小遣もそんなにないので、二人は財布を見せあいながら、狐うどんを食べた。
女学生らしいあけっぱなしの気持で、二人は帯をゆるめてはお変りをしては食べた。
「貴女ぐらいよく住所の変る人ないわね、私の住所録を汚して行くのはあんた一人よ。」
お夏さんは黒い大きな目をまたゝきもさせないで私を見た。
甘えたい気持でいっぱい。
丸山公園の噴水にもあいてしまった。
二人はまるで恋人のようによりそって歩いた。