Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうろうき(しょしゅつ)

放浪記(初出)

林 芙美子

Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme

Aozora Bunko

七月×日

「神戸にでも降りてみようかしら、何か面白い仕事が転がってやしないかな……。」

明石行きの三等車は、神戸で降りてしまう人達ばかりだった。

私もバスケットを降ろしたり、食べ残りのお弁当を大切にしまったりして、何だか気がかりな気持ちで神戸駅に降りてしまった。

「これで又仕事がなくて食えなきぁ、ヒンケマンじゃないか、汚れた世界の罪だよ。」

暑い陽ざしだ。

だが私には、アイスクリームも、氷も用はない。ホームでさっぱりと顔を洗うと、生ぬるい水を腹いっぱい呑んで、黄ろい汚れた鏡に、みずひき草のように淋しい姿を写して見た。

さあ矢でも鉄砲でも飛んでこいだ。

別に当もない私は、途中下車の切符を大事にしまうと、楠公さんの方へブラブラ歩いていた。

古ぼけたバスケット。

静脈の折れた日傘。

煙草の吸殻よりも味気ない女。

私の戦闘準備はたったこれだけでござります。

砂ほこりの楠公さんの境内は、おきまりの鳩と絵ハガキ屋。

私は水の枯れた六角の噴水の石に腰を降ろして、日傘で風を呼びながら、汐っぱい青い空を見た。あんまりお天陽様が強いので、何もかもむき出しにぐんにゃりしている。