Japanische Klassiker mit Furigana
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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
Lesen Sie 新宝島 (しんたからじま) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 99.590 Zeichen · 197 Bildschirme
兵隊さんが敵の中へおどりこむ時には、きっとこんなだろうと思われるような、ものすごい形相でした。
無理もありません。一郎君は今、死の瀬戸ぎわに立って、三人の命を救おうとしているのです。からだに残っている力を使いつくしても、自分一人の腕で、この大危難をのがれて見せようと決心したのです。
一郎君は、筏の一方につんであった、食料を入れた木の箱のところへとんで行きました。そして、その箱の蓋の板を両手につかむと、そのまま筏のはじに坐って、満身の力をこめて、湯のように熱い水を掻きはじめました。
いくら水を掻いたところで、むろん、筏をもどすことは出来ません。その場所にとめることも出来ません。流はそれほど急なのです。でも、死にもの狂いになれば、筏の流れる方角を、すこしかえるぐらいは出来るはずです。一郎君はそれを思いついたのです。板で水を掻いて、筏が出来るだけ火の柱からはなれた隅の方を流れるようにすれば、万に一つも助かるかも知れないと考えたのです。
ゴウゴウという噴火の音は、まるで雷のようにひびいています。しかし、一郎君にはもうその音さえ聞えませんでした。熱さはだんだんに高まり、今では燃えさかる火の中へ飛びこんだような苦しさです。