Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 197.228 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

「――まず! 岐阜の信長どのには、すでに御出馬あって、三万余の大軍、陸続と岡崎表よりこれへお進みあるぞッ。まった城之介どの(信忠)にもお出ましあられ、家康さま、信康さま、それぞれ野田の辺まで急がれ給い、すでに先手は一の宮、本野ヶ原にまんまんと陣取って候ぞ! 城御堅固にお持ちあれや。遅くも、三日のうちには、御運の開き、武田勢の末路、火を見るよりも瞭らかなれ。いま一息の頑張りですぞッ!」

武田方の人々は跳び上がって、口々にさけんだ。

「あッ。なにいう。――おのれッ」

狼狽した武士たちは、十字架の下へ駈け寄って、宙に槍を交叉した。さッと陽にけむる鮮血の虹の中から、強右衛門のさけびが、まだ聞えていた。

「おさらばーッ。城中の衆。……城中の方々」

山も揺るぎ、河も哭いた。

一死を天に抛って、強右衛門が最後に吐いた真実の声は、城中の戦友五百の人々の耳を明らかにつらぬいた。

城兵たちは、眼のあたり、崇高な彼の死を見、また彼の犠牲によって、まったく滅失のどん底にあった戦いの上に、煌々たる希望の告示をうけ、一瞬みなわれを忘れたかのように、

「わあッーあ」

「わあッ……」

と、諸声あげて感泣した。